2010年4月27日火曜日

ライブ・イン・クライネウィーンVol.8後記-Vn弾き



また一つ、「ピアソラ時間」という夢の時間が、刻まれました!

安心して次に進む前に、やはり、振り返っておこうと思います、
Piazzolla Time Vol.8「ライブ・イン・クライネウィーン」。

手もかじかむ、寒い寒い冬の間から、ひたすら暖かい春をイメージして、
本業・学業の合間に、それぞれ準備を積んできました。

これだけ必死にやる理由は、「その暇がある」からではなく、
「価値がある」から、であるに違いないです。

確実に、それぞれにとって「今しかできない」ことでもあります。

アマチュアだから一生懸命弾けばよい、だけでないものを
ここに込め、皆さんにも、それを感じ取っていただけたらなら、
皆にとっての成功だったと思います。

それが今回のテーマ「飛び出す音楽」の意味です。

いつものように、曲順に振り返っておきます!


1) Biyuya

ピアソラ時間にワープするための、ピアソラらしい曲。
であるけれども、やはり、最初から絶好調というわけにいかない。

何か、練習には決してなかった乱れを感じたけれど、録音を聴いてみるに、
そう崩れた感じには聞こえなかったのは、練習の賜物だろう!

「ピアソラ」が初めての人にとっては評価が分かれる曲かも。
私には、「人生」を感じる曲だけれども!

腕前の試される曲でもあり、また何度でも果敢に挑戦したい!


2) Michelangelo '70

今回、まるでMCに乗り気がしなかったバイオリン弾きは、
しゃべることを何も考えずに当日がきた。(こんなこと、実は初めて!!)

とりあえず、立て続きに弾こうではないか!と思い立つ。

が、ちょっとブレイクを入れながら進めるほうが、
舞台にいる方も、聴き手側も、緊張がほぐれたかな・・・と
思いつつ弾いていた緊迫感あふれる2曲目。

これも弾きこなれてきたので、危うい展開(途中でピアノが2小節飛んだ!)
にもかかわらず、何とか乗り切れた。

が、もっともっと得意になりたい曲だ!


3) Fuga y Misterio

これまた、スリリングな曲だ。
奏者が一人、また一人と増えていくピアソラのタンゴ・フーガ。

何せ、いつだって、そのスピードで大丈夫か?
という勢いで、チェロ弾きが出だしを滑り出す。

が、「弾きたい」テンポを尊重するのだ!

今回の新曲の一つで、本番直前まで「フーガ」部分は心配だったけれど、
まとまりと勢いを作れて、スムーズに「神秘」部分に移行し、
次曲「Soledad」への序章になった。

タンゴ・フーガが1つにまとまると、
それこそ、ピアソラの真髄に触れたような気がしてくる素敵な瞬間だ!


4) Soledad

前曲の「神秘」で落ち着きを取り戻した我らが臨む得意曲。

趣きあるピアノ・ソロで始まり、チェロ・ソロ、
バイオリン・ソロへのソロ・リレーという黄金の方程式!

私は、この曲で、会場を丸ごと楽器に変えようという気持ちで
弾いていたけれど、それが功を奏したと思える。

Soledadの重厚感がたまらなかった、というご感想に集約している。

私たちは、ピアソラの力を借りて、音楽で、
「孤独」という、一つの物語を描くことができた!


5) ブエノスアイレスの春

前半で、最大の難関。特に、出だしのバイオリン・ソロが・・・。

でも、ひとたび、弦の上から弓を引き始めると、
Soledadの静寂を破り、春を引きずり込む音がした!

ピアニスタが、曲目解説で「弦が聴きどころ」という、
我ら弦セクションであれば、思いつきもしなかった
フレーズを展開していた。ので、弾き切るしかない!

最後の気合の一音も決まり、
ブエノスアイレスの四季、最大の難関は、こうして乗り越えられた!


6) 天使のミロンガ

自信の無い曲の次には、最大の自信曲をつなげる戦略で。

ピアソラの最高傑作「ゼロ・アワー」にも収録されている
「天使のミロンガ」は、やはり特別な曲だと思う。

それだけに、いつも、中間部のバイオリン・ソロで、
弾く度に、極度の緊張感が走ってしまうのは事実だ。

やはり完璧には弾けずに悔やまれる(by バイオリン弾き)が、
トリオの全体感が、これほど体現できている曲もないだろう!

チェロ弾きが、曲投票でこの曲が上位に上がらなかったのを
悔やむのもわかるね。もっと、極めるべし!


7) Adios Nonino

はい、まだ続きます(笑)。ここから後半です。

いつだかのライブでの自己紹介で、ピアノ弾きが、
イントロ・ソロに挑戦したい、と宣言していたのが、実現。

今まで、いきなりTutti始まりだったので。

荘厳・華麗で有名なピアノ・ソロ譜を
ある時、チェロ弾きが仕上げてきた。

実は、完成版を前日ですら(!)耳にしていなかったので、
二重の意味で、バイオリン弾きは、ソロの間、心あらず!

見事、弾き切ったのは、ご承知の如く!
どうか、ピアニスタに大きな拍手を!

でも、まだまだ深みが増す余地のあるのを
我らメンバーは信じているので、次回への期待大であります。

切ないメロディと、小気味良いリズムが、隣り合わせなのが、
ピアソラらしい哀悼の表現でなかろうか?

いつ弾いても、鳥肌の立つ瞬間がある名曲。


8) Escualo(鮫)

またしても消化不良な鮫になってしまった。
否、「マエストロの曲」だけに、至高の完成度を求めたいのだ!

が、「特に鮫がかっこよかった」という、
バイオリン弾きをこの上なく嬉しがらせるご感想に感謝!


9) チキリン・デ・バチン

直前に思い立って(!)、この歌詞を読み上げることにした
バイオリン弾き。

そんな練習を一度もしてこなかったので、
歌詞を全て読み終えた後に、すぐにメロディを弾きこなす
切り替えが、上手く出来なかった!!!

やはり、慣れないことは、本番でやらないことです!

とはいえ、何とか、この曲の情感をお伝えできた演奏に
なったのではないか?と。


10) 悪魔のロマンス

この曲も、文句無く美しい。

しかも、タイトルが「悪魔」なのだから、
ピアソラの鬼才としか思えない!

バイオリン弾きは、最後のメロディのビブラートに、
今この場を「草原」の真っ只中に一変する気持ちを込める。

タイトルとは裏腹に、永遠なる透明感に包まれる曲。


11) リベルタンゴ

待ってました!の「リベルタンゴ」。

前回までの「速い」リベルタンゴから、
テンポ緩めで、まとめてみたが、実に良かった!

今度こそ、アレンジを快く貸して下さった団子さんに、
お聴かせできる完成度だったと思える。

そして、皆さんからの投票も、さすがの第1位でした!


12) ブエノスアイレスの夏

ブラガート版「ブエノスアイレスの四季」は、実は、どれも難曲だ。

夏は、トリオの練習を始めた、というより、
初めてトリオで弾いた曲が、この曲だった!

あれから、まだ2年経っていないけれど、
皆の奏者としての成長ぶりは、凄まじいと、この曲を弾いて思える。

ブエノスアイレスの夏の夜は、気だるいものらしい。

中間部は、夏の夜のちょっとしたロマンスを込めてみた(笑)。

練習するのは、膨大だったのに、あっという間に、
ライブ終曲がきた。いつも、これから始まればよいのに!と思う。

三者が、いちばん乗ってきたところで、最高の演奏ができた。


最後の「くもの巣」投げテープもダブルで決まって、
場も最高潮に達した! この時間を皆さんと共有できたことは幸せだ!


そして、何かが飛び出すことを意図した
「飛び出す音楽」のテーマに自信があったのは、
最後にこの“飛び道具”を用意していたからなのだった。(笑)
(このあたり、自己満足ですが、お客様にも喜んでいただけたようで!)

鳴り止まない拍手(!)にお答えして弾いたのは、
S.V.P. でした。


今回、皆の持てる力を全て発揮できた、
本当に感激のライブになりました。

お集まり下さった皆さん、
お手伝いしてくれたチャーミングな二人のおかげです。

どうもありがとうございました。

次回は、8/29のライブ・イン・トーキョー(実は渋谷)で
お会いしましょう!!

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