2009年12月3日木曜日

Vol.7を曲目で振り返る by Vn

人の記憶は、強烈なようでいて、
後で都合よく(?!)忘れてしまうものです。

そういうわけで、忘れないうちに、というより、
安心して忘れて(!)次に進むために、曲目を振り返っておきます。

ピアソラを弾くのが、なぜ難しいかというと、
独特の音楽形体もさることながら、
これほど奏者の技量、基礎力が問われる音楽はありません。

今回は、公使公邸で、ご夫妻に大感激の演奏が目標でしたので、
特に、バイオリン弾きは、基礎練習を徹底的にしました。(アレでも!)

お恥ずかしいのですけど、♭系のスケールは苦手でしたし、
ポジション移動も、上から降りてくるのが、エライ苦手でした。

ソロでピアソラを弾くとなると、そういうのが全て剥き出し、
ちょっとの狂いが、大きな狂いとして聞こえてしまうのです。

もし、ピアソラを弾かないのであれば、こんなに緻密な練習は、
疲れた仕事帰りの後にやることはないでしょうね~。

ピアソラの音楽に係わることで、こうして、あらゆる面で、
成長が問われるように思います。


さて、1曲目は、オブリビオン。

これは、ピアソラのメロディの美しさを代表するものでもあり、
シンプルなので、だからこそ、表現に苦しみ、
結局、本番でも、バランス的に「未完成」で臨んでしまった感があります。

もう少し、弾き込みが必要でしたね。課題にします。

ホセ・ブラガートの編曲でした。


2曲目は、フガータ。

アマチュア奏者の常で、プログラムの最初の方は、
まだ全然乗り切れていないのに、この難曲。

不思議さいっぱいを醸し出して、あっと言う間に終わってしまいました。
もう少し、楽しさを滲み込ませたかったです。

ピアソラのフーガ式タンゴは、やはり極めたいことの1つ。

前回は見送って、今回トリオでは初めて、フーガ式に取り組みました。
まだまだ修行が必要ですね・・・。


3曲目、ブエノスアイレスの秋。

これは、トリオにとっての新曲で、少々長めの風変わりなソロもあるし、
何せ難しかったので、最後まで心配でした。

が、リハでは、この曲だけ2回練習しておいた成果なのか、
やはり、ピアソラ作曲、ブラガート編曲の成せるマジックなのか、
アンケートでは、この曲を上位に挙げて下さった方が多くて、
とても勇気づけられました。

いずれにしても、挑戦してみて、良かったです。
秋の季節に「秋」を弾ける最後の機会でしたので。


4曲目、ブエノスアイレスの冬。

この曲は、Duoから通算して、ライブで弾く回数が最多です。

それほど、我らの中で気に入っていますし、弾き甲斐もあります。
アンサンブルとしても、まとまりが出来つつあるようです。

が、まだまだ「完成」には、遠い道のりを感じてもいます。

特に、バイオリン弾きは、3ページの譜面のうち、最後の3ページ目が、
ずっとバイオリンの動きが肝になるのに、音程とりづらくて冷や汗ものです。

毎回、今度こそ!と思って取り組み、今回は、ムリヤリだったフィンガリングを
変えてみたので、ようやく、すんなり弾けるようになりました。

そして、この曲は、最後に向かって「春を迎える」という展開に
Trioとして落ち着きましたので、これまでの「冬」モードの弾き方を
何とか切り替えて弾いてみました。

おかげさまで、この曲も、アンケートで上位に挙げていただきました。

でも、まだまだ成長の余地を残しています。


5曲目、ミルトンの肖像。

これも新曲。そして、この曲は、Donさんからのリクエストにより、
録画撮りも行ったのですが、乗り切れなかったかな・・・という感じですね。

やはり、新曲は、本番でどんなことになるのか、ちょっと未知数ですね。

また出直して、弾いてみたいです。


6曲目、エスクアロ。

ここから後半です。ようやく、この舞台に適応しつつあります。

が、私自身、この曲、前回の大塚の時の方が、
ノリ良く弾け、会場のノリも抜群だったように思います。

休憩後最初の曲、という曲順も一因でしょうか?!


7曲目、リベルタンゴ。

録音で聴いてみると、練習では決して再現できそうにもない、
ハイ・スピードで突っ走っています!

最も弾き込んでいる曲でもあり、スピードについていってはいますが、
ピアノ、刻み、メロディが、ピタリはまっていませんね。

それは、弾きながらも感じていたのですが・・・。

それでも、曲の迫力と、知名度と、ノリの良さとで、
皆さんからの投票では、No.1をいただきました。有難いことです!

改めて、アルゼンチン団子さんの編曲に感謝です。

もっと、この曲も進化させたいと思います。


8曲目、キチョ。

この曲は、意外にも、今回のプログラムの中で「最長」の曲です。

冒頭の長いチェロ・ソロは、病み上がりのチェロ弾きには、
多少堪えたようでしたが、本人は満足の出来だったようです。

それならば、我らに何も言うことはありませんね。

中間部のバイオリンとチェロのやりとりの部分は、私も大好きな箇所です。

また、Trioとしてのノリも、前回以上に出てきています。


9曲目、アディオス・ノニーノ。

この曲は、なぜか、練習の時、時間が足りなくて弾けなくなることが
多いので、いつか、これを極める演奏会を作りたいなと思っています。

が、今回、これまたバイオリンのハイ・スピードな出だしに乗って、
そして、あの美しいメロディも、良き音響空間とあいまって、
録音を聴いてみますと、意外に良かったので、安心しました。


10曲目、悪魔のロマンス。

この折角の名曲。冒頭から、事もあろうに(!)
バイオリン弾きが入り損ねて、「いまいちゾーン」に入り込み、
抜け出せないまま終わってしまった感じです。

それでも、この曲の名曲ぶりに助けられたとは思いますが、
それにしても、地味に終わりすぎてしまったので、
次回に、万事を尽くして弾きたい曲の1つです。


11曲目、天使の復活。

最後の曲になって、ようやくエンジンかかってくるのは、
もう毎度のことですね。

録音で聴いてみても、この曲が、最も安心して(!)聴けました。

正確に言えば、崩れそうになるポイントがいくつかあるのは
否めませんが、それ以上に全体の曲の雰囲気が、良くまとまっていました。

弾いてても、ようやく楽しめてきたところです。

ちょっと今回は、前回の1回目のときと違った変な緊張感に
囚われていましたので・・・。

ライブを締め括る曲として、この曲を弾き、
もしかして、私たちの得意曲になりうるのではないか!
と思えた演奏になりました。


そして、鳴り止まない拍手(!)にお応えして弾いた曲が、
「アベマリア」、そして、再度の「リベルタンゴ」でした。


今回は、各自練習を重ねて、前回以上の演奏になったと思います。

けれど、どこか消化不良を感じているのは、
前回は、計画通りに練習をこなせて、本番に勢いに乗って臨めたのですが、
今回は、何度か、メンバーの体調不良により、トリオとしての練習が、
頓挫してしまったことにあると思います。

アンサンブルのバランスをもっと詰めておきたかったな・・・と。

まぁ、寒くなる季節柄、体調が崩れやすい時期とは思うのですが、
バイオリン弾きの本業は、ヘルスケアが専門でもあり、
ちょっとマズイな・・・と思った次第です。


ピアソラの偉業は、作曲であるとともに、
活躍するフィールドを世界に広げて、自ら自演することでもありました。

つまりは、ピアソラの身体的・精神的タフさが、成し遂げたものと思います。

私たちも、“そこまで”追求したいものです。

というわけで、メンバー自身のメンテナンスを
月々義務付けることを思い立った次第です。

次回では、見事、そのタフさが備わった演奏をご期待ください!

2 件のコメント:

El Bohemio さんのコメント...

小熊さん、小生は唯のピアソラフアンです。
残念ながら何も楽器も楽譜も読めません。‘68年ごろから単にピアソラの音楽の魅力に取り付かれたものです。特に彼の四季シリーズは好きですね。小生もBuloggerのブログに“ガルデル物語”を載せているので貴ブログが目にとまりましたのでコメントする気になったというわけです。現在国外に在中なので貴女の演奏が聴けないので残念です。ピアソラとガルデルでは落差が激しいですが、小生はピアソラの′60年代の演奏から魅力に取り付かれた訳です。

koguma さんのコメント...

El Bohemioさん、おいでいただき、ありがとうございます。
ガルデルのブログ、拝見しました! とても詳しいですね!!

演奏は、前回のも実は、動画を一部撮影しているので、You Tubeにアップするなど可能なのですが、もう少し上達を待つ方が良いかもしれません。

次回のライブでは、ブエノスアイレスの四季より、春、夏を演奏予定です。