パブロ・シーグレルと聞いて、何も感ずるものなければ、
生粋のピアソラ・ファンと言えないだろう!!
後期の五重奏団でピアニストを務め、
ピアソラ・キンテートを華麗に、骨太に支えている!
マエストロ・スアレス・パスに次いで、
いつか会いたいと思い続けていたら、
この6月に、「ジャパン・プロジェクト」と称する来日公演があるのを知った。
平日の夜だけど、迷わず、一般販売が始まる前から、
ラティーナさんに直に予約を入れたら、
なんと、一列目の席をゲットしてしまった!
これだけでも、狂喜だったけれど、とある筋から、
プライベートなDuoリハーサルに、聴講させていただける話をいただいた。
急な話で、ドキドキしたけれども、間近でシーグレルの演奏が
聴けるなんて、めったなことではない!
そして、2日の候補のうち、片方の日時に、
たまたま仕事がぽっかり空いていたので、伺うことにした。
場所は、とあるピアニストさんの都内スタジオだった。
どれだけ多くの人が詰め掛けてるだろうと思ったのに、
行ってみたら、私一人きりだった。
部屋に通されると、小型のベヒシュタインの前に、
夢にまでみたシーグレルが振り返って、
チェリストにアドバイスをしていたところだった。
そこから2時間、私は言葉も出ない感動の渦!!
ピアソラ以外の曲もあって、それは素晴らしかったけれど、
ピアソラの曲の時には、涙が出そうな迫力だった。
リベルタンゴ、アディオス・ノニーノ、ミケランジェロ。
リハーサルだけど、曲が終わると、拍手しちゃったよ。
それは良かったみたいで、最後に、Thank you for nice audience!
と言ってもらえた。
つまりは、マエストロ・シーグレルは、
大ホールとか、小さなリハーサル室とか、
何千人もの前だとか、たった一人の前だとか、
そんなことはまったく関係のない演奏だったのだ。
と思うと、私は、本当に涙出てきそうになりましたね、この本物の演奏に!
途中で「Happy?」と尋ねられたのだけど、
目の前にいる人をたった一人でもHappyにすることが、
シーグレルの演奏の優先事項だったように思えたものだ。
どうだろう、泣けてこないか???
まさに、井の中の蛙、ならぬコグマ、大海を知るひとときだった。
この姿勢こそ、音楽家魂の最たるもの!!
折角、今年はスペイン語に目覚めたのに、こんなビッグな機会が
待ち受けようとも思わなかったから、ちょっと間に合わなかった。
でも、マエストロ・スアレス・パスと違って、
スペイン語まじりの英語で、実に気さくに話してくれた。
それは、スアレス・パスのバイオリンの情感たっぷりの演奏であるのに
対比して、シーグレルのガチっとある意味ドライな弾きっぷりに、
通じるものがあるように思えた。
手ぶらで、丸腰で、ただ駆けつけてしまった私は、
TANGATAの譜面だけを持参してきていた。
ここに、サインをしてもらおうと思って!
快くシーグレル氏は、サインをしてくれた。
そして、もう次の場所へ向かう時間だというのに、
なぜか再び、ピアノの前に座ると、あのTANGATAのピアノ・ソロを
弾き始めたのだった。頼みもしないのに!!
「タンガータはとっても良いよね!」と。
この突如始まったソロ演奏には、卒倒しそうでしたね。
あのヴィヴァーチェの出だしのユニゾンが、こんなに迫力満点、
地響きのような音だとは、CDじゃ知り得なかったよ!!!
ひたすら良い人だった!
そして、音とは、このレベルで響かせなきゃいけない、
というのを体で実感してきたように思える。
この晩の練習で、自分の楽器の鳴りが変わったもの!
そういうわけで、願いはいつか叶うものなのかな?と思えた一日。
6月22日、一列目で聴けるコンサートも楽しみだ。
スマイルを送ってやるゼ!(笑)
1 件のコメント:
http://www.itchiku-museum.com/event13.html
こんなのがありますが、ご存知でしたか?
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