これは、生涯の宝物になりました。
明らかに、レッスン以来、変化しているという実感があります。
「目指したい音」を生で聴けたので、それから逆算して、
弓の持ち方も、より人差し指、中指を使う奏法に、
気付いたら変わっていました。
ずっと変えたくても出来なかったことが、
一人のマエストロに出会えたことで、一変したのです。
この体験は、初めてバイオリンを習った時以来のこと!
これまで、CDで聴いた感じと、譜面のみで、
自己流に弾いてきたバイオリン弾きでした。
弾けば弾くほど、「これじゃない!」という壁を感じ、
いつか、アルゼンチンまでレッスンを受けに行きたい!
と決意を固めていたところ、思いがけず、
マエストロの来日を知ることとなりました。
これを逃したら、「次」は無い!と意を決し、
滅茶苦茶だし、失礼な文章かもしれないのは承知で、
慣れないスペイン語で、アルゼンチンのマエストロに、
コンタクトを試みたところ、有難くもご返答いただけました。
しかも、「時間が取れれば」の条件付で、ご快諾いただけたのです!
「夢じゃないか??」と思えた瞬間でしたが、
その後、スペイン語を特訓しつつ来日を待ち、
また、公演のご関係者の方々とご予定をご相談しつつ、
直接、お会いすることが叶いました。
驚くべきは、初めてお会いできたこの時、マエストロは、
既にレッスンをして下さるおつもりになられていて、
挨拶もそこそこに、日取りを確認して下さったのです。
急きょ、翌日の朝ということに決まりました。
そして、実現した3時間の初レッスン。
スペイン語は、1ヶ月の猛特訓のみでしたので、
動作に関わる言葉は理解できるものの、
「喜び」といった表現に関わる言葉が、分からず、
しばし、ジェスチャーを交えた珍問答となりました。
「感動」と「緊張」が入り混じった、この数時間は、
しかし、忘れることのできない時間となりました。
タンゴ、そして、ピアソラを弾く上での、
外してはならない“規則性”と、歌い上げる“自由性”を
知ることができました。
特に、バイオリン・ソロの時の弾き方。
テクニックじゃないんだ! コラソン(心)だよ!
この楽器に表現を込めて、歌って、歌って、歌わせること!
と、実に、忘れ難い表現で、教えて下さいました。
バイオリン奏者として、
考えて弾くこと、感情を込めること、歌い上げることの
重要性をこの日ほど、思い知らされたことはありません。
また、曲を弾いていく中で、あちこちにある「重要な音」を
いかに大事に弾くかを知ったのも、目から鱗でした。
確かに、それを大事に鳴らすことができると、
音楽になるのです!
ピアソラ以外のタンゴの曲をあまり知らなかったので、
マエストロを悲しませてしまったことには、とても悔いが残ります。
が、これから弾く上での「見取り図」を手にした実感があります。
数々のタンゴを弾くセクレートを元に、練習あるのみです。
レッスンの最後と、そして、お別れする間際にも、
「あなたには、大いに素質がありますよ。とにかく練習、練習、練習ですよ!」
と何度も声をかけて下さったことは、忘れることができません。
ぜひ、この成果をバイオリンに込め続けていきたいです。
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